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「三春タイムズ」長谷川ちえ

「三春タイムズ」長谷川ちえ

協会のホームページなのだから、健康に関連する書籍の紹介をするものじゃないの?

とお思いになられるかもしれませんが、今日もまた「健康」の本ではありません。四季折々の暮らしを感じられる1冊。

東京から福島県三春町に移住した方が綴る四季折々。三春というのは、「梅・桃・桜の3つの春が同時に訪れることが名前の由来」だそうで、(長野は「梅・杏・桜」か、はたまた最近は加えて「桃・林檎」も折り重なるように咲くので、五春か、などと思ってしまう)2015年に滝桜を見に訪れたことを思い出します。

miharu sakura 3

素敵な装丁、中にも線の細い(点描画的な)やさしい手書きのイラスト入り。それだけで癒されます。二月立春に始まり、大寒までの一年を通して、三春の風景や地域の文化に根付いた暮らしを暖かい語り口とイラストで紹介してくれるエッセイです。こういう本を読んでいる間は、副交感神経がぐんぐん優位になり、心もカラダもゆるんでいくのを感じます。心もカラダも求めているから、こういう本を手に取り、レジに持って行ってしまうのかな、と思ったりもします。

原発事故後、毎年プライベートで1~2回福島に通っていました。そのころ風評被害も甚だしく、観光地でさえ閑散としていたのが痛々しく、少しでも何かできることをと思って、お米や桃を取り寄せたり、旅行に出かけたり。と言っているうちに、福島がすっかり好きになり、特に会津地方、磐梯山エリアは、庭のようになっていました。

また、山菜とりなどが慣習としてあった、里山での季節の暮らしが失われたことを住民の方々が語るのを、研究活動のなかで聞いていました・・。本書のなかで、干し柿をつくる慣習が一時は柿に含まれる放射線量が高いため、できなくなってしまっていたけれど、この慣習が今は三春に戻ったとの話がありました。福島県全域で、里山に暮らしてきた人々に日常が戻ることを願うばかりです。

続編もあるということで、いずれ読んでみたいと思います。

読書は、心とカラダの健康に関係していると思います。そんな、良書をここで紹介していけたらと思います。

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「人間は毎日、きれいだなあと思う景色を見ながら暮らした方がいいと思うんですよ」(本文より)

曇天の北アルプスを眺めながら・・本当にそのとおりだ、と思う。