この本と初めて出会ったのは、鹿児島市にある天文館図書館でした。
この図書館のコンセプトは、「みんなをつなぐ図書館」~
この本は、子どもの発達について書かれていますが、 大人である私たちに、《人が成長していくとはどういうことなのか》教えてくれます。
そして、子どもを「育てる」だけではなく、「育む」ことの大切さ。副題にあるように、"子どもの心に聴きながら" 育てることが、育むことにつながるのだというメッセージが伝わってきました。なかなか難しいことですが「親だからこうすべき」などと自分にハードルを設けずに、子どもと一緒に考えたり、悩んだり、笑ったり、悲しんだりして、子ども自身がどうしたいのか、"子どもの心に聴きながら" 一緒に、この世での短い人生を過ごす。与えられたこの人生の日々のなかで、一緒に、思いや愛を育む。
子どもを育んでいくということは、 私たち大人を子どもたちが育んでくれているように思えてなりませ ん。『思い通りにならない自分の現実と向き合って、ときに転び、 泣きながら立ち上がり、歩んでいこう』 としているのは大人も同じだと思うのです。だから、 子どもとか大人とかではなく、 対等な人間として子どもと向き合うことができればいいな、 と考えています。時にはぶつかることがあるかもしれない。 そんな時こそ、お互いの考えを伝えあい、受け入れて、認めあう。 簡単なことではありませんが、 それがお互いに育みあうということなんだと思います。
そうして、ともに成長していく。そうして、「育て、育んでいく」・・・
私は、人は生涯を通じて成長すると思います。この本は子どもの発達について書かれていますが、どの年齢にも置き換えることができる内容になっていると感じました。
読みながら、亡き母がいつも冗談めかして語っていたことを思い出していました。
母が伝えたかったことを明確に理解できたわけではありませんが、この本を読んでいて、ぼんやりとわかりそうな気がしてきました。
興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください♪そして、 身近な人と本の内容について語り合っていただければと思います。
<本文より>
子どもは、その発達の道すじで、 発達への願いはあれど思い通りにならない自分の現実と向き合って 、ときに転び、泣きながら立ち上がり、 歩んでいこうとしています。その涙を流している小さな心を、 私たちはそっと抱きしめることができます。「えらい」 人にならなくても、 これからを生き抜いていく一人ひとりの人生は、 矛盾と葛藤に満ちているゆえに、すべて美しいのだと思います。 私たちおとなも、そうやってここまで歩いてきたのです。
子どもの涙を、あたたかい手のひらでぬぐってあげてください。 子どもが何ごとかに失敗し、悲しい思いをしているときには、 心のなかでいっしょに泣いてあげてください。
子どもの涙が孤独な涙で終わるのではなく、 それを手のひらで受けとめるように抱きとめてくれる人がいること 。そのとき、愛されることを知るゆえの真実の愛情が、 子どもの心にはぐくまれていくように思えるのです。