Articles Library title

「この星で生きる理由」佐治晴夫

「この星で生きる理由」佐治晴夫

理学博士(理論物理学)の学者の視点からみた人間や人の営みに関することを書き綴ったエッセイ。視点を広げてものごとを考えさせてくれる、どこか心地よい一冊です。

著者のいう人間は、「今から138億年の遠い昔に、限りなく暑くまばゆい一粒の光として生まれた宇宙が、枝分かれしながら進化」したもので、したがって「すべての存在は、それを構成する基本粒子の離合集散」であるという。人間は「食物から摂取した物質を化学変化させて、太陽の1万倍以上のエネルギーを作り出して体温を保ちながら日々の生活を送っている」。以前紹介した「死は存在しない」ともつながるような気がします。

はっとさせられる部分があったり、励まされる部分があったりする本書ですが、(付箋をペタペタ貼ってしまいました)読んでいて安らぐのは、宇宙、自然界という大きななかで私たちを見つめようとしているからでしょうか。                           

・「生きていることが最大の救いである」生きているからこそ必ずやってくるのが明るい未来であり、それを創出するのが、あなた自身の最初の半歩だということです。種田山頭火を苦境から救ったのは風の音だったという言い伝えを思い起こします。「山から風が風鈴へ、生きてゐたいと思ふ」(種田山頭火)

他にもありますが、この先はぜひご一読を!