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「夏みかんの午後」永井宏

「夏みかんの午後」永井宏

私たちが最も大切にしたいミッションは、自然、社会との調和によるこころとからだとスピリチュアリティのトータルケア。「Books」ではこのためによいと思われた本を定期的に紹介しています。

今日のテーマは「自分の人生にとって本当に必要なものは何か?できるだけ不要なものをそぎ落として自然と調和して生きる」でしょうか。またまた永井宏さんの本をご紹介したいと思います。

都会に暮らしていると、モノがあふれていて、購買意欲を次々に刺激されます。人の数が多く相互の情報のやり取りも膨大となり、それだけに時間の流れが速く、本当に自分にとって必要なものは何だろう?ということも考え、立ち止まったり、速度を緩めたりすることもできず、走らされ続ける。刺激的ですが、どちらかというと交感神経が優位の状態が続く環境が整っているといえるでしょう。

この本には短編小説が2編含まれていて、どちらも葉山が舞台です。東京から移住し、自然との調和のなかで新たな生活を始める人たちが主人公。時間がゆったりと流れています。自然の描写とともに、読む人に安らぎを与えてくれます。読むことで副交感神経を優位にしてくれる本♪装丁から視覚的にも癒されます。

Hiroshinagai book 4

Hiroshinagai book 3

私も東京で暮らしていた時は、厚労省、そして国の研究機関で働き、はたまた社会人として大学院修士・博士課程に通い、睡眠時間は4時間が当たり前でした。ストレスも過多。ほとんど家に帰れない月もありました。たくさんカラダに負荷をかけて、よく死につながる病にならなかったと思います。交感神経だけが優位な状態が続くと、顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)が増えてしまいます。ストレスが加わる場合も同じく交感神経を興奮させ、好中球が増えるとされています。これらは活性酸素を発生させたり、サイトカインを生成し、結果的にがんの発生・転移・再発をあおったり、過剰生成により組織にダメージを与えたりします。生活習慣病もがんも、こころとカラダの調和が無理な生活・環境によって崩れて起こるのだ、と思います。

Hiroshinagai book 2

信州暮らしを始めて、人間がいる限り小社会の状況は同じでしたが、疲れたとき、ストレス過多の時に、都会に比べて身近な自然の豊かさの中に身を置くことで、自分のこころとからだと自然の調和を図りやすくなりました。

本を読むという作業は、文章を読むことでこの瞬間に疑似体験ができるよさがありますよね!ぜひ、日ごろ本を読まない方も、本書を手に取ってみていただけたらと思います。本1冊の値段は何回かの外食を我慢すれば買うことができます。いつまでも繰り返し読むことができます。

この本の最後にこんな言葉が記されていました。大きくうなずけたので、紹介させていただきます。私たちも、私設図書館(の予定)をつくろうと、土地・家屋を探しています。そこでトータルケアを提供したいと思っています。

 

背中をそっと温める手のぬくもり

遠くからあなたを見守る眼差し

いつもはげましてくれる友だちの言葉

小さな声でしか伝えられないこと

    本とは

人のいとなみからあふれた何ごとかを

   はこぶための器