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続・三春タイムズ 長谷川ちえ

続・三春タイムズ 長谷川ちえ

同じ著者の続編を紹介することになってしまいました。福島三春町からの四季のたより。

 都内には最近、あちこちに「セレクトブックショップ」のような書店がちらほら見られ、荻窪にある「Title」は有名で私もとても好きな書店です。(店主さんが書かれた本もおすすめです)一般的な大型書店にはないような、店主の目利きにより選ばれた本たちが置かれています。皆さんの街にもありませんか?

長野にも似たような書店、「朝陽館(ちょうようかん)」があります。こうした書店は街にとってもとても必要だなあと思います。この本も、この書店で手にしました。

1巻目も同様、2巻目も装丁、挿絵ともに癒されます。文章がやさしく、季節が過ぎていく様を一緒に静かに見つめて、その何気ない季節や日常を味わうことができる本です。疲れているときに、四季や人の優しさを感じられるような作品だなと思います。福島県三春町にもぜひ足を運んでいただけるといいなと思います。

土の匂い、草の匂い・・・木々の幹から発せられる匂いやエネルギー・・・

長野に移住したくなったのは(まだ完全ではありませんが)、この本にもみられるような、四季がはっきりと感じられるところ。そして、それぞれの季節で見られる自然の色彩が豊か、植生が豊かなところに、すっかりはまってしまったからでした。

これまで旅行が好きで、出張も含めて全国あちこち歩きまわり、それぞれ良いところがたくさんあるなかで、北信、北アルプスの自然から得られるものが、自分に欠かせないものになってしまいました。時間のながれもちょうどよい。東京で仕事をして暮らしていた15年ほどは、朝も夜も土日も関係なく仕事ばかりしていました。季節を感じるのは旅をしたときと、年末年始くらいでした。若いから体を壊してしまわずにできたのだと思います。

今、いろいろな人の健康相談・保健指導をさせていただいていて、同世代の特に男性が、自分のこころとからだをすり減らして働いて、血液にも多くの異常値が出ていますが、「自分のこころとからだに耳を傾ける」ことや、「自分自身をたいせつにする」といったことが抜け落ちてしまっている人が多くいると感じます。

こんなに信州の豊かな自然に囲まれているのに、ここに生まれ育った人たちにとっては、空気のようなもののようです。せっかくのこの環境から得られるものから自分自身を遮断してしまっているかのよう。

人間も動物や植物と同じ生命体。共鳴し合い、エネルギーを交換しあいながら生存しています。自然を求めてやまないのは、私たちのこころとからだに必要だから。そして、四季を感じながら、折々の食べ物を頂いて、その土地、その時々に合わせて生きていくのが、本来無理のない生き方なのではないかと思います。

それは、決して酒に呑まれたり、ニコチンに依存するよりも、ずっと満たされるはず・・・

三春町でのこの著者の文章からも、そうした人間のいとなみを感じることができ、読みながら副交感神経がすっと高まるのを感じられます。きっと、こころとからだによい文章だと思います。

ぜひ、日々あわただしく、自分に鞭打って全速力で駆け抜けている方々に、2冊手に取って読んでみていただければと思います。