コラム

奄美の食文化 かしゃもち

奄美の食文化 かしゃもち

今日紹介する奄美大島の食文化は、かしゃもちです。

集落を歩くと、あちこちで呼び止められ、ちょこちょこっと何かを頂くことがあります。その一つが「かしゃもち」です。手土産にいただくこともあり、美味しくてついつい食べ過ぎてしまいます。

先日、池田さんご夫妻のお茶会(?)では、隅っこに、こんな風に・・・

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出していただいてました。目立たなかったかもしれません。この日は「月桃/ゲットウ(サンニン)」と「山帰来/サンキライ」の2種類の葉で包まれたヨモギ餅が出てきました。写真の真ん中に一つ、まるっこい葉で包まれたものが見えると思います。これが、「サンキライ」の葉で包んだヨモギ餅です。西日本の柏餅は従来、このサンキライの葉で包んでいたそうです。手に入れやすいのですね。赤い実は美味しくないそうですが、リースやドライフラワーによく使われています。

私の村では、実は、「月桃」の葉で包んだものはあまり見かけません。畑にクマタケラン植えている人が多く、ヨモギ餅を包むのには「クマタケラン/熊竹蘭」の葉を使います。奄美大島の多くの地域では「月桃」の葉が使われているように思います。

沖縄では、月桃とは言わず、サンニン、サニン、サンネンなどと呼ぶようです。このサンニンの葉にお餅を包んで蒸して食べられていますね。奄美大島本島では逆に、「サンニン」とはあまり言わず、「月桃」と言っています。

奄美大島月桃とクマタケランは、実は親戚なんです。原種は、アオノクマタケラン/青熊竹蘭といい、月桃はこの原種に由来します。クマタケランは、アオノクマタケランと月桃の自然交配種になり、葉の固さ・大きさ・匂いが少しずつ異なります。花も似ていますが、つき方が違います。知っている人が見れば、すぐに見分けられます。クマタケランで包まれたもののほうが、匂いが柔らかく、味も優しいように思います。「月桃」で包まれたものもおいしいですけどね。

近年、ヨモギ餅を包んでいる葉をすべて「かしゃ」という傾向があるように思います。なんでもかんでも、「かしゃ餅」と呼んでしまっています。本来は、クマタケランの葉=「かしゃ」なので、クマタケランの葉で包んだヨモギ餅=かしゃ餅のはずなのですが、混乱してきているのかもしれません。

サンキライで包まれたお餅は少なく、いただくことはできませんでしたが、優しい匂いの味になるそうです。

どこかへ行くと、寄り合いの場には「かしゃ餅」が。奄美大島ではそのくらい身近な存在です。

各地方で葉で包んだ餅・団子がありますが、いずれも使われている葉は防腐効果や殺菌効果がありますよね。先人はどのようにしてそのような知恵を身に着けていったのか、すごいですよね。

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                         wrriten by 奄美在住 A.T