コラム

奄美の食養生   - クサギの話

奄美の食養生 - クサギの話

今日は奄美大島からのレポートです。

奄美の野草や薬草に興味を持ち学び始めている中、奄美市で十数年前から野草や薬草、伝統食材を使った料理を振る舞い、島の食文化を次世代へと受け継がれていくことを願う、池田俊一さん(82)、美佐世さん(79)の食事会での体験をご紹介をしたいと思います。池田さんは大和村、美佐世さんは奄美市名瀬朝仁町のご出身で、今は朝仁の千年末跡地近くの山小屋に暮らしておられます。

この日のメニューの食材は、クサギ(アマクサギ)がメイン。味噌汁、煮しめに使われていました。それから、タナガというテナガエビ。タナガは素揚げされていました。ヨモギ餅は2種類。かしゃ(月桃)の葉で包まれたものと、サンキライという葉で包まれたものです。

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今日は、「クサギ(アマクサギ)」を紹介します。

クサギは漢字では臭木とされ、シソ科の植物です。独特の香りがするとされています。花や実がなり、実は染料として使うことができます。奄美特有と思ったら、分布は北海道からとされていました。(Wikipedia他)温暖な気候で育ちやすいようですので、奄美でよく生育するのかもしれません。

こんな葉をもつ植物です。

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葉を少しクシュクシュッツとすると、独特の臭いがしてきました。この独特の強い臭いが、クサギであることを証明してくれるので、誤ることがありません。

調理方法は、採取したものを一度洗い、塩で軽くもんでゆでて、色が出始めたころに引き上げます。湯がいたり、日干しにしたら、臭みが完全に消えて、香ばしくなるというので不思議ですね。旨さを知っている人は、クサッナ(臭木菜)と呼んで、季節が訪れると必ず食される奄美の山菜の1つです。

ダーナ(コサンダケ/ホテイチク:奄美の筍)と一緒に炊いて食べたりします。※ダーナは奄美の方言

食用部分:新芽、若葉

採取時期:4~5月(奄美大島)

効能(葉・茎):①リウマチ・高血圧・下痢(1日に10~15g煎じて服用する) ②腫物・痔(15~20g煎じた液で患部を洗う)

食べ方:茹でて乾燥させておいたものを水に戻して使うこともあります。

①味噌汁の具としてそのまま

②新芽を油で炒める

③つのんこ(5cm内外のつぼみ)に少量の塩をかけて軽く揉み、さっと湯がいたものを味噌汁の具にする

④ダーナや揚げ豆腐、こんにゃくなどと煮しめにして食べる

⑤葉がひろがったものは湯がいて天日干しして乾かし、保存しておいて利用する

この日は、①④の方法で調理されたものをいただくことができました。

匂いが強い葉野菜が苦手な私でも、調理されると匂いがなくなり、美味しくいただくことができました。

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奄美には様々な野草や薬草をはじめ、昔から食されてきた食材があります。いずれも、奄美の気候や自然環境、そして歴史が生んできた食文化で、健やかなこころと体をつくるものが、継承されてきました。当協会でも、健康に関連するこうした文化を紹介するとともに、知的財産として蓄積していけたらと思います。

次回は、この日に振舞われた「タナガ」をご紹介したいと思います。

(池田さんご夫妻、一緒に参加された皆様に感謝をこめつつ) 

参考文献)川原勝征(2005)山菜ガイドの草を食べる. 南方新社     

                    written by  奄美大島在住 A. T