コラム

奄美の食文化    - タナガ(テナガエビ)

奄美の食文化 - タナガ(テナガエビ)

今日は先日に続き、奄美大島からのレポートの続編です。

 さて、味噌汁に、そして小皿に、エビらしきものがいますね。これがタナガです。

タナガのなかでも大きいものは、30cm~40cmにもなり、日本最大の川エビ「コンジンテナガエビ」(40cm)も奄美群島などに生息しているといいます。生きている間は透明のため、日中は捕まえるのはなかなか大変だとか。タンガとも呼んでいます。

小学生のころ、学校のそばの川で、授業の一環としてタナガ取りをしたことを思い出します。岩の隙間に網を仕掛けたり、棒でつついてタナガをおびき寄せたり。ひんやりした川に入り、皆でわいわい言って楽しく過ごした夏の思い出がよみがえります。

からっと揚げたものが、酒のつまみとして愛されています♡夏祭りではカリカリに揚げられて売られていて、祭りなどのイベント前には、青壮年団などが川へ取りに行く様子も。今は残念ながら、一般的な日常食としては使われていませんが、誰かが取ってきたら分け合って食べるという感じでしょうか。そうやって捕獲のコツも引き継がれているのでしょう。懐かしの味。

そんな身近な食材。この日出されたエビ。1週間前に300尾とってきたとのこと。網にかけて1尾ずつ取るので、300回引き上げて捕獲したということに。昔は1000尾とか3,000尾取っていたというのだから、すごいです。5~6cmの小さいものは素揚げに。それ以上大きなものは味噌汁に入っていました。

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このタサギ、調べてみるとさすがに継承されている食材だけあって、栄養価がとてもいいんです。これが日常食として食べられていないのは、勿体ないですね・・。

ほかのエビに比べて特に多いのが、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHAです。カルシウムもとても多いエビになります。他のエビとも共通して、高たんぱく・低脂肪。ビタミンB12が多く含まれています。ここでもう一度・・

EPA:悪玉コレステロール(LDL)と中性脂肪を下げる作用があります。血小板の凝集を抑制したりするとも。血管拡張させる作用があり、高血圧の予防や血流改善などの働きもします。

DHA:必須脂肪酸の一つ。脳を中心とした神経組織にとても多く含まれる、脳に必須の栄養素で、神経細胞を活性化させて、記憶力や学習能力を向上させるといわれています。

ご存じの方も多いかと思います。

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クサギやタナガがいつ頃からどんなふうに食文化に溶け込んでいるのか、調べてみると面白そうです。

奄美にはハブがいるので、タナガをとるとき、川を泳ぐハブに遭遇しないか、ちょっと(かなり)ドキドキします。

                           written by  奄美大島在住 A.T.