先日、5月7日のInstagram&Facebook記事でも引用した本の一部を少し紹介したいと思います。
静かな森の中に暮らし始めた著者が、少し社会から離れて世の中を俯瞰してみて思ったこと、気づいたこと、その他日々徒然が書かれています。-森の中でひっそり暮らしていると、人間というもの、社会というものが逆にくっきりと見えてくる。ー
「人間が生きていられるのは平均3万日、72万時間(1/3は睡眠、食事など)。48万時間くらいが自由に使える資産」
毎日日常に追われていると、見えなくなることがあります。こういう感覚です。私たちの一生に与えられた限られた時間、これは「資産」なんだということ。ですが、資本主義の社会システムにおいては、労働は"搾取"されているので(以前このコーナーで紹介した「資本主義の次に来る世界」 参照)自由に使える資産という感覚は失われがちです。
「余裕をもって少し力を抜き、わざとゆっくりときょろきょろしてほかごとを考えつつ取り組むことでよい結果を生む場合が多い。(中略)そのため大事なことは「余裕」。(時間的・金銭的・スペース的・能力的)少しセーブして臨む方がよい」
その通りですが、現実は難しいですね。今、40-50代(60代)の働き世代の人たちのほとんどが、毎日ほとんどの時間を労働して、生きることで精いっぱいです。中には朝から夜まで2つの仕事を掛け持ちしている人、住宅ローンや子どもの教育費を支払うために、家事と育児と介護を365日続けて自分の時間がまったくない人、日々疲れ果てて寝に帰る繰り返しという人もいます。時給も給料も、とりわけ地方では、全然上がっていません。
「人間の社会では協調性が大事にされる。協調第一というスローガンだ。(略)いちいち考えないことが社会では必要みたいだ。いつもニコニコして周囲に逆らわず、大勢に同調して生きていく人たちが増えた。(略)都会にいるほ、考えない人になりやすいのではないか」
著者は、協調第一主義によって、思考しない人が増えたことを指摘し、
「考えないことは楽だけれど、本当に幸せなのだろうか?」と投げかけています。
自由に思考すること、思考してそれを表現できることによって、人は成長したいと思うでしょう。楽しいと感じたり、幸せを感じたりできるのではないでしょうか?同調して自分の考えや意見を言わないことは、Happyになれないばかりでなく、個人や組織の発展につながらず、停滞を招きます。家族や友人関係のなかでも、親密性は育まれないのではないとも考えられます。
最後に若い人の他者依存性が強い点を指摘されています。ネットを通じてつながり、他者に承認されようとする。そうやってつながった集団と大人になってもずっと関係が続き、抜け出すことができない。みんなで他者依存になり、いつまでも手をつなぎ合っているという。
「どの親も、子供が仲間外れにならないように、と願っている。みんなと仲良く遊べるように育てるだろう。みんなが騒いで走り回っているとき、部屋の片隅で一人、本を読んでいるような子供は、「みんなと遊びなさい」と先生に指示されるかもしれない。こうして、多くの「人並み」な人間が育つ。(略)自分がやらなくても、誰かがやってくれる。天才が現れて、この国を引っ張っていってくれるだろう。祖考えている他者依存の人ばかりの社会である」
若い人たちがこのようになってしまったとすれば、大人に責任があるでしょう。社会、そして会社・組織でも、少し人と違うとー突出したことを言ったり行ったりすると、はじかれてしまう。そんな社会を見てきているのです。皆同じ時に同じ行動をとらなければならない、学校の基本的なシステム、社会の協調第一主義のありようが、「人並み」な人間を増やし、「天才」や「個性」の目を摘んでしまっていることは、確かなことでしょう。
次の、著者からの若者へのメッセージは、全ての世代に共有できるメッセージだと思います。
「若い人へー自分が頑固にならないように気をつけよう。自分がこんな人間だと思いこまない。いつも新しいものに目を向け、自分の考え方を常に疑い、問題点を探そう。(略)誰かに理解してもらう必要はない。常に、自分を理解し、自分を認めることが一番大事だと思う」
少し視点を変えてみたい方に、おすすめの1冊ではないでしょうか。


