今日の1冊は「死ぬまで生きる日記」。希死念慮を抱える人だけでなく、自己理解や感情の整理に興味がある人にも多くの示唆を与える一冊であり、著者の体験が多くの人にとっての「灯台」となっていると評価されています。
著者自身の経験に基づいて書かれており、カウンセリングの過程で感情の深度が変化していく描写や、「死にたい」という感情を抱えながら日常生活を送る自身のことを書き表しています。
カウンセリングを通じた言葉の置き換えや、新しい視点で日常を見ることなど、著者自身が実践する手法を記述されているので、その中で、皆さんに共有したいことを共有したいと思います。
〇 感情が「死にたい」の場合 「死にたい」に代わる言葉を探すー 死にたい気持ちを否定しないようにしましょう。他の言葉で置き換えられないか考えて口にしてみましょう。そして、必死に自分が生きようとしていることを感じて、そのように感じていいと自分をゆるしてあげましょう。
著者は「火星に帰りたい」という言葉を「火星に帰りたい」に置き換えたエピソードが描かれています。この「火星に帰りたい」という表現は、直感的な欲求や孤独感をユーモアを交えて言い換えることで、自分の感情を客観的に眺め、少しでも負担を軽くする試みの一環となっています。「死にたい」という強い言葉を使わず、別の表現を用いることで感情の圧迫感を和らげ、自分や他者とのコミュニケーションを可能にする一例となっています。すべての人に「別の言葉を探そう」と強く勧めているわけではありません。感情を言語化し、再構築することで新しい視点や理解を得られるとしています。(認知行動療法、自由連想法)
〇 思考の癖があるということを客観的に認識して時々癖をほぐしていくー 誰にでも思考の癖はあるものです。ネガティブな感情が思考の癖にあるなと思ったら、そのような感情が湧いてきたとき、その感情を書き出してみましょう。その感情が何をきっかけに起こったのか出来事も書き出してみましょう。(ネガティブな感情を引き起こす"自動思考") たいてい、感情⇒自動思考でぐるぐるまわって立ち往生してしまいます。思い込みが強化されて過剰が増幅してしまうので、反証することが大切です。
反証の方法:自動思考を紙に書き出す⇒客観的な目で一連の流れを見てみましょう⇒他にも可能性があることに気づく(=反証)⇒反証を行った後どんなきもちになりましたか?どんな行動を次は取ろうか考えてみましょう。
〇 過去の蓄積が現在 あの時はあったけれど、今はもうない、と悲しむ必要はない。こういうものがあった、と思うようにする。
〇 問題は解決しようとしない 問題は解決しようと思わなければ「問題」にならない
〇 他人が関与しない、条件なしの幸せをリストアップする 人間は本能的に幸せに対して恐怖を感じる。幸せを手に入れた後失うのがより恐ろしいからである。
「死」というテーマと「生きる」という行為は対立するのではなく、むしろ共存するもの。次回以降、「死にかた」に関する本をご紹介したいと思いますが、誰しも「死」がある。この本を読んでいると、ただ生存するのではなく、自分の感情や孤独、痛みを深く見つめ直しながら(それはとてもしんどい作業です)その一つ一つを抱えたまま日々を積み重ねていく姿勢が感じられます。
「生きる」という行為を一歩ずつ進めていくことの難しさと尊さ。それは、単に「死にたい」と思わないための方法ではなく、どのように「生きたいのか」を問い直す旅路のように見えました。よろしければ手に取ってみてくださいね。


