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「土を育てる」ゲイブ・ブラウン

「土を育てる」ゲイブ・ブラウン

現在は地中の生態系が機能不全に陥っているー 土をマイナスから育てた詳細についてのレポートです。

土壌の再生から始めて、除草剤、化学肥料、殺菌剤を一切使わない農業。土、森、災害、いのち。循環しているということを、私たちは軽視してきたために、今さまざまな問題が起こっています。本書をご紹介する前に1つだけ言っておきたいことーそれは、農業だけで生計を立てることの大変さを想像すると、たやすく物事は言えないということ。2030年までに、温室効果ガス排出ゼロに向けた目標値として、肥料や化学農業の大幅削減(それぞれ20%、50%)、有機栽培農地の拡大(25%)などを打ち出したEUでは、抗議デモが起こっているといいます。転換は容易ではなく、費用もかかります。気候変動によって日本でも土壌が変化し、作物が育たなくなっていき、日本でも亜熱帯地域の作物に転換しなければならなくなったりしています。

これまで人間が好き放題に使ってきた土。土を育てなおす取り組みがどれほど大変かを知り、そして基礎知識を得ることができる本。膨大な情報量が記述された本です。ほんの、ほんの一部をご紹介します。ぜひ手に取っていただければと思います。

土の健康五原則 

真菌の活動を活性化すること。 真菌とバクテリアの割合は100対1以上。(森の生態系では真菌が優勢)むき出しになった土は1対100に逆転する

1.土をかき乱さない 

2.土を覆う 

 土の温瘀21℃ 植物は地中の水分を100%使える。    土の温度38℃ 使える水分は15%、残りの85%は蒸発蒸散により失われる。

 土の温度54℃ 水分は100%蒸発蒸散で失われる。    土の温度60℃ 地中のバクテリアが死ぬ。

3.多様性を高める 植物の多様性は7-8種類で相乗効果が生まれる。

4.土の中に生きた根を保つ 収獲を終えた後次の年まで何も植えないのは誤り。地中の家畜に冬の間ちゃんと餌をやる。そのために植物を植えることが大切。次の作物やカバークロップをまく。土に炭素を送り込むことで循環する。

5.動物を組み込む 

「バイソンやアカシカが植物を食むことにより、植物が根滲出物を出して必要な養分を供給してくれる。それにより、土壌生物を引き寄せ、光合成が活発になる。」

『もし本当に地球環境のことを心配するなら、たとえあなたが肉を食べないとしても、反芻動物が草を食むことの重要性に目を向けるべき。(牛肉は悪くない/ニコレット・ハーン・ナイマン著)必ずしも肉食が自然によくないのではない。牛の放牧を少しずつ移動させ植物に負担を書けない。草の30-40%まで食べさせる。酪農家にも自然にも持続可能である。」

とても興味深い世界が広がっている、土。これだけ地球環境が壊れつつある今、そして将来。これまでのように、「人間の個体」と「人間社会」にだけ目を向けて健康について議論するのは、無意味だと思うこの頃。人間のヘルスの専門家は、様々な専門家や産業分野の人びととタックルを組み、動植物・人間の相互関係において健康を考えていきたいものですね^^

「光合成でとらえた太陽エネルギーが液体炭素として地上から地下に流れ、微生物が刺激され、ミネラルの可溶化が進む。新たに溶け出したミネラルの一部は地中深くの層をスピーディーに腐植化し、残りのミネラルは植物の葉に戻り、光合成を加速し、単糖類の生成を増やす。プラスの反応のループが起こる。植物は動物と同じように計算高さをもち、生存に必要な養分を獲得する。植物が滲出物を通して個の養分がほしいというシグナルを出し、波長の合う微生物が反応する。さらに他の養分を必要とするなら、今度は別のシグナルを出し、また別の微生物の注意を引き寄せる。」

 

参考資料よりPick Up 

Sustainable Agriculture Research and Education   https://www.sare.org

Nicolette Hahn Niman: It's Not the Cow, It's the How(牛は悪くない。要はどのようにするかだ) Based on the book Defending Beef, Hahn Niman(2014)    https://clf.jhsph.edu/viewpoints/nicolette-hahn-niman-its-not-cow-its-how