今日は私たちの協会の拠点の１つ、奄美大島には数多くの伝統行事がありますが、9月～10月に各集落で行われる「豊年祭」についてです。協会主要メンバーで、奄美大島出身在住のTのレポートを交えてご紹介します。
奄美には、夏になると五穀豊穣と地域の安全を願う豊年祭が各地域で開催されます。私（T）が住んでいる大和村でも各集落で開催されています。ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ここ数年は神事のみ行われ、奉納相撲、余興、8月踊りが行われずにいました。
豊年祭は集落をあげての行事です。大和村の場合、豊年祭は9月実施(十五夜豊年祭)の集落と10月実施(クガツクンチ)の集落にわかれます。豊年祭では相撲を奉納するのですが、例えば10月実施の集落から9月実施の集落へ応援相撲に行きます。例えば、大棚集落は９月ですが、名音集落は10月に行われます。今里集落においては人口減少のため夏休みの7月に実施するなど、変化も見られています。
当日は、集落に現在住んでいる集落民のみでなく、集落出身の郷友会の方々も参加されます。まず、集落の水源地から力水を汲むことから始まり、力士に扮した男性陣が「ヨイヤー、ヨイヤー」とホラ貝を吹きながら声を掛け合い集落内を行進し公民館へと向かいます。力士は、子どもも大人も廻しをつけて練り歩きます。
公民館へ到着したら二手に分かれ奉納相撲を行います。（そうなんです、奄美大島では各集落に土俵があります。大体、公民館に併設しているかと思います）
大和浜集落の豊年祭を観覧したときは、その年集落で生まれた男の子が土俵入りを行いました。子どもは立派なまわしを付けられ、お父さんなど大人の力士が土俵に足をつけた後、高く抱き上げ、皆で拍手をしていました。
その後、小学生などの子ども同士から青年団、壮年団の個人戦へと移っていきます。勝った方の陣営では、「ヨイヤー、ヨイヤー、ホイヤー」と勝った喜びを分かち合います。他の集落からも力士が来て、地域対抗戦のような応援相撲も行われます。相撲は、どの戦いも白熱します。拍手が自然とおこり、掛け声があちこちから飛び交います。組み合わせはなく、年齢の近い者同士で戦うため、時にはケガをすることもあるほど、当人同士は真剣です。そのため、大怪我をしないように練習を行い、当日の相撲に挑んでいます。
相撲が終わると、子どもや女性が仮装して土俵を周回する中入りが行われます。衣装は毎年異なり、浴衣を着た綺麗な女性の年もあれば、変顔のお面などを被り面白可笑しい格好をする年もあります。
この間、婦人会の女性陣は接待を行います。観覧者を席へ案内しお弁当とお茶などを配ります。
お弁当は婦人会の手作りです。仕込みを前日から行い、当日に調理しお弁当箱へ詰めていきます。婦人会の重要な役割となっていて、お弁当の内容は決まっており、代々受け継がれています。準備から当日にいたるまで、集落の女性陣は大忙しです。
ーちなみに、代表理事はいくつかの集落の豊年祭を巡回観覧させていただき、「食べていって」と各集落でこのお弁当を頂き（持たされて・・）この日は食べきれないほどでした（食べてしまいお腹いっぱいになりましたが）。内容には奄美の食文化も垣間見ることができました。
大和浜集落では、伝統的な棒踊りとなぎなた踊りが行われることで有名です。棒踊りは六尺棒、三尺棒、鎌、なぎなたを前後左右に激しくぶつけ合う勇壮な踊りです。青年団の若い男性陣が連日仕事の後練習に励む姿などが見られます。（動画はInstagramもしくはFacebookの協会ページをご覧ください）若者たちの雄姿がとても勇ましく、カッコいいです！！（その努力や伝統文化を継承しようとする姿勢・気持ちすべて含めて！）
また、女性陣によるなぎなた踊りでは、鮮やかなたすきとはちまきで身を固めた女衆が、かたき討ちをテーマに立ち回りを演じて、これもまた素晴らしいので、2015年に訪れたときも、観覧者であふれていました。
さて、この後は夜の「八月踊り」が行われます。 （つづく）
写真は大和浜集落の豊年祭の様子です。写真協力 by H.Shigeno in N集落 Yamato Village
